家康は歯周病だった?
こんにちは。6月は、1年の折り返しにあたる6月30日に、茅の輪くぐりでお馴染みの夏越の大祓が各地の神社でありますが、今年はどうなることでしょうね。5月は緊急事態宣言が延長され、家で過ごす方も多かったのではないでしょうか。普段とは違う生活リズムで知らず知らずのうちにストレスをため込んでいる人も少なくないと思います。そのストレスですが、歯周病を悪化させる原因であることをご存じでしょうか?
歯周病とは、歯の根っこを支えている骨が吸収して、放っておくと歯が抜け落ちる病気です。天下統一を成し遂げ、江戸幕府を開いた徳川家康は偉大な武将ですが、極度のストレスが原因で脱糞してしまったというエピソードがあります。晩年の家康は、歯がすべて無くなり木製の入れ歯で食事をしていたそうで、間違いなく家康も歯周病だったのではないかと考えます。
人はストレスを感じると、「ノルアドレナリン」というホルモン物質が分泌されます。ストレスと一言でいっても適度なストレスは、むしろ健康のために必要ですし、ノルアドレナリンもこうしたストレスの元に立ち向かったり、気力や集中力に欠かせない神経伝達物質です。しかし、一方でこのノルアドレナリンには歯周病菌の病原毒素の発現を促進してしまう働きがあります。そのため、ストレスの多い人ほど歯周病になりやすく、悪化しやすいといわれています。また、歯周病は単に口の中だけの病気ではなく、あらゆる全身疾患と歯周病菌の関連性が近年の研究により指摘され始めています。歯周病菌が原因で血管内に沈殿物ができ、心臓疾患・脳血管疾患の可能性が高まります。また、歯周病菌が原因となってできる化学物質はインシュリンを効きにくくするため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。他にも、肺炎、妊娠中の低体重児早産、骨粗鬆症、バージャー病(手足の末端の血管が詰まり炎症がおき、皮膚に痛みや潰瘍をおこす病気)など、歯周病から誘発される様々な病気があります。
歯周病はサイレントキラーと言われ、自覚症状が無いままどんどん進行していく感染症の病気です。歯ぐきから出血する・歯ぐきが腫れる・歯がグラグラする・膿が出るなどの症状が現れるのは、歯周病が悪化してから出る症状です。自覚症状の有無に関わらず、歯科医院でのチェックをお勧めします。
さて、6月4日は語呂合わせで「むし歯予防の日」と言われています。また、6月4日~10日までの1週間は「歯の衛生週間」です。この機会に歯科医院での検診や、専門的な口腔ケアをおこなってみてはいかがでしょうか!
神社であっても人の集まる場所へは、なかなか行けなくなりましたが、身についた半年間の罪・穢れをお祓いし、無事に過ごせたことに感謝するとともに、残りの半年間も清らかな気持ちで過ごしたいものです。
マス歯科衛生士部門